どうも、アブーです!
この記事では医薬品の研究職になるまでの道のりや適正などについて書きます。
企業に限らず、ポスドクのことについても少し書いていきますので、研究職に興味がある人の参考になれば幸いです。
それではどうぞ!
目次
研究職は二種類
①大学や公的な研究機関に所属する研究者
奇想天外な発想で昼夜問わずどんどん発明していく、こんなタイプが①に当てはまるかと思います。知的好奇心を満たすような研究ができるため、企業の研究者よりも自由度が高そうな印象です。
②製薬企業などの企業に所属する研究者
企業の研究職は①の研究者より時間管理能力が問われるため、どれだけの成果をどれだけの時間で出したかが重要になると聞きます。もちろん、大学の研究者にもある程度の時間管理能力は求められますが、
企業となると研究者でありつつビジネスマンという側面があるせいか、少しキッチリした雰囲気があるのかなと思います。
分野:生物系 or 化学系
大きく分けると、生物系か化学系か、というところですね。医薬品はもともと化合物(化学物質)でしたが、今は生物製剤(バイオ医薬品)と呼ばれる生体由来のものあります。
生物製剤は比較的最近になって世に出てきたもので、生体内にあるタンパク質に工夫をしたものなどが医薬品として認可を受けて治療に使われます。
たとえば抗体をもとにした抗体医薬では、体の中に進入した菌などを除去するのに役立っている抗体に工夫を施しています。
化合物はあまり詳しくないので恐縮ですが、合成を繰り返して病気に効きそうな物質を作るそうです。(説明が雑ですみません笑)
最近では核酸医薬も注目を浴びつつあるので、化学系だとそちらで活躍できる可能性もあるかもしれませんね。
就職までの道のり:最低でも修士は必要
製薬の研究職に就く方法は大体この2パターンかと思います。- 大学院修士課程→企業の研究職に就職
- 博士課程まで出て博士の学位を取得→企業の研究職or大学・病院の研究職(ポスドク)
でも企業の研究者になるには、実力・運・人脈などが必要で、実際にはすごく狭き門です…。
目指すというよりかは「目の前の研究にのめりこんでたら製薬の研究職が相応しい存在になっていた」くらいのスタンスなんでしょうね。
実際、研究の世界はコネで就職とかありますし、頑張ってる自分を目にかけてくれた先生やその知り合い伝いで就職なんてザラなようです。
ちなみにポスドクはというと、大学の先生方に聞いた平均は年収で300万くらいのようでした。
中には一年目から年収500万の先輩がいましたが、薬剤師免許を持っていた方ですし年収としてはけっこう高い例かなと思います。
また、博士課程に進学となると順調でも卒業する時に28歳あたりになるので、
周りの博士課程進学者を見ても結婚を考えるとなるとお金が問題となりやすいようです。
お金の対策としては、在学中の生活費は奨学金を得たり、授業料免除をねらったり、少し別の仕事でお金を稼いでから臨んだりというところですね。
(ちなみに、結婚を考えるなら何とかバイトを頑張る、理解のある親・パートナーに恵まれることが多いようです)
奨学金を受けるならやっぱり給付型や無利子タイプを受けられると良いですね。
研究内容に社会的意義があり実現可能性のある手法だとアピールできればより良い条件で得られると聞きますので要チェックです。
(ちなみに、奨学金で主流なのは日本学生支援機構(JASSO)なようです)
もし薬剤師免許があれば、薬局アルバイト+RA,TA(リサーチアシスタント、ティーチングアシスタント)の収入で何とかなってそうな先輩方がいました。やはり免許は強いですね…。
RA,TAの収入は、研究室に在籍しているなら採用されるチャンスはありますので、必ず応募すべきですね。
私が修士の時は幸いTAがありました。半年間で90,000円程いただけましたので、ご参考までに。
他に高額な例だと、私立の医科大学の博士課程RAで月10万円というところもありました。
私立の医科大学は6年生医学部の学費が高額なこともあり、こういった例があるのかも知れません(笑)やりたい研究があって、生活しやすい制度も整っている大学だと最高ですね。
参考:研究で食っていくならやっぱ博士号が必要やなと思った話
研究職の特定派遣という働き方
また、年収は300万前後でも良いなら特定派遣の研究職という手も一応あります。これは派遣会社の正社員になって、企業の研究所にサポートとして派遣されるという仕事です。
ざっくりメリット・デメリットを挙げるとこんな感じですかね。
メリット
派遣先に引き抜いてもらえるかも。研究者として幅が広がる。様々な企業の研究体制を経験できる。
デメリット
原則派遣先を選べない。重要な会議は退席するなど、派遣先の機密には触れられない。
年収は多くはない。帰宅後に派遣元の業務をする必要がある。
こちらの記事で特定派遣で3ヶ月ちょっと働いてみて思ったことをまとめていますので良かったら読んでみてください^^
参考:【医薬品:研究職】特定派遣の会社に転職した話
研究への適性はこの7つ
完全に主観ですが、研究への適性を改めて整理してみました。だいたいこの7つがあれば幸せな研究者ライフが送れそうだなと思います^^b研究が大好き
キレイごとではなく、本当に大事な要素ですね。むしろこれがあれば他の適性は後からついてきます(笑)
適正を7つも挙げましたが、これさえあれば何とかなります。
研究に取り組み続けてください。
発想力が豊か
言うまでもありませんね(笑)イノベーションを起こすことが仕事です。勉強熱心・コツコツと取り組める
日々さまざまな発見が世界中から報告されます。他の研究者の考えや方法、流行を論文などから常に学べることは必須です。論文は基本的に英語なのでリーディング力も必須ですね。
また、研究をしていると失敗して計画通りに行かないことがほとんどです。
失敗することを予測して計画を立てることは大事ですし、何度失敗してもコツコツと取り組める人は向いていると思います。
余談ですが、研究者には長子の人が多いという結果があり、理由は他の兄弟より長子のほうがコツコツ取り組める傾向があるからだそうです。
柔軟に論理を立てられる
思い通りではないけど興味深い結果が出たときってありませんか?(笑)嬉しいですが、当初の狙いと違うとどう発表していいかとか少し迷うと思います。
そんな時でも周りを納得させられるように発表するなど、上手に結果に繋げられるスキルがあると生き延びやすいと思います。
手先が器用
やはり細かい作業が多いです。研究をやっていると一つしかないサンプルを扱ったり、期限的に失敗できないこともあります。また、一つ一つの手技を均一にできないと同じ実験をしてもデータがバラついてしまうこともあります。
本当に生物学的な差があってデータの変化があるのか、それとも自分の手技のせいで変化があるのか、どちらか判断できないとせっかく実験しても時間・試薬・アイデアがもったいないですよね。
実験ばかりやっていても上には行きにくいですが、手を動かすこともやはり大事です。
上の立場にいる研究者だと”考える”ことがメインになりますが、初めのうちは「考察」と「実験」のバランスを上手くとっていく必要があると思います。
コミュニケーション能力がある
研究職って「一人で黙々と」というイメージがありませんか?製薬の研究職を目標に就職活動をしていた時、説明会で意外に各社担当者から聞いたのが「周りの人と上手くコミュニケーションをとれる人」という言葉でした。
実際、自分ひとりでは発想に限界が来たとき、誰かに自分の発想を話しているうちにひらめくことがありますし、人それぞれ専門分野が違いますので、色んな人の知識・経験を複合させて革新的な結果に繋げる力が求められているでしょうね。
また、研究の世界では人脈が意外と大事です。
任期が切れるときに知人から職場を紹介してもらって職を得ることが頻繁にあるそうですし、研究員の募集をしているところに知人がいると公式の募集より厳しくない条件で選考をすることもあるそうです。
公募の話に関しては、一流とされる三大誌(Cell, Nature, Science)に論文を載せているような人をさし置いて、知人伝いで知った人の面接を優先することもあるそうです。
どんな人から繋がるかわかりませんので、学会などの研究で出会う人の名前やその人の情報は必ず覚えておきましょう。
学外に行くなら名刺は必ず携帯しておくべきですね^^
住む場所に拘りがない
研究職は狭き門ですし、任期の関係で一つの場所に留まっていることは難しい職種です。自分の住みたい場所が定まっているなら研究職は少し難しいかもしれませんね。
たまたま住みたい場所が研究所の多い地域(つくば、神戸のポートアイランドなど)であれば幸いですが…。
自分の専門分野を求めてくれる企業があっても、自分が行きたくない地域だと就職できないですよね(笑)
「研究で食っていくなら住む場所<研究」くらいの勢いじゃないと厳しいと思っていてください。
まとめ
本庶佑先生がノーベル賞を受賞したこともあり、日本の研究環境がより良くなれば幸いですが、実際は生命科学系の研究の世界はまだまだ甘くないと思います。(化学系は生命科学系より厳しくないと思います)実は私は研究職を目標にしていましたが、修士卒で就けず、特定派遣の会社に転職しても化学系の企業に派遣され「研究職に就く以外にしたいことのほうが多いな…」と感じて途中で折れてしまいした。
私の場合、今から本気で狙うなら博士課程進学の手段もありますが、やるならお金の心配が無くなってからかなというのが本音です(笑)
以上、何かの参考になれば幸いです。「研究職に就けない人の思考」として反面教師にでもしてくださいw
読んでくださってありがとうございました!
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